= JANUARY 30. 2000 =
アメリカ・シリコン バレー の新聞の切り抜き。
アルバム『冬の十字架』のジャケットでポーズする忌野清志郎。
このアルバムに日本国歌「君が代」のロックバージョンが収録されている。
国歌のロッカーズ・バージョン
音楽業界には腫れ物
Michael Zielenziger(『Mercury News』東京支局)
(日本・川崎)――今年初め、日本人ギタリスト・シンガー忌野清志郎は、
最近法制化されたが、いまだ議論含みの日本国歌「君が代」をもとに
その熱いロックバージョンをリリースしようとした。
ちょうどかつてジミ・ヘンドリクスが
「The Star-Spangled Banner〔星条旗〕」についてそうしたように。
忌野はしかし――彼は日本のボブ・ディランともミック・ジャガーとも呼ばれる人物である――
結局、版元の「ポリドール」と交渉し曲を発売するよう説得したが、かなわぬことになる。
ここには、戦後長い間この歌が日本軍による侵略戦争の名残りと考えられてきたという経緯があった。
「あれは国会で国歌として法制化された後で、だから作ったんです。
もうタブーでも何でもないはずなんだから」
――最近も、48歳になるこのミュージシャンはタバコを何本もふかしながらそう話す。
「実際にはでも、レコード会社はヤバイと思ったみたいですね……レコーディングすることには反対ではない、と言った。
ただ曲を出すことで議論が起こるのはまずい、と」。
ここ、何よりも調和が美徳とされるようなこの国では、国歌に関する何事かの実験など厳密にタブーのままだ。
ただし忌野、最近ではほとんど国家・社会に対する批評家のようにして現れるこの忌野をのぞいては。
政治がらみの彼の歌にはトゲトゲして鋭い感情的な詩も見られる。
原子力、自殺、校内暴力、環境汚染……。
彼の詩は、これら禁止された問題に正面からぶつかって行く。
「君が代」、言い換えれば「陛下の治世」とは、第二次大戦の終結以来ずっと論争の焦点になってきたテーマである。
現実のものとしては消滅したものであったにもかかわらず、そうだったのだ。
国内のある人々にとっては、
この歌は、天皇の機能を再興させるべく動く右翼の活動家か軍国主義者たちの集会スローガンと思えたし……
『Rocker』,p.5AAをも参照のこと
ロッカー演出の国歌にスポンサーなし
……(人々に抵抗の感覚)はまったく無くなった」と忌野は語る。
「前の『バブル』の頃とくらべてもうまく行っているんだ、なんて感じている人があんまり多いと思う。
どうも見ていると、満たされて何の欲求もないみたいなんだな」。
「みんなして外に向かって何か言うこと」
――'60年代後半人々がそうしたように――
「などもう誰もしたくないんだ」、と彼は言う。
「みんなあまり静かで大人しくただ現状に合わせて生きている。
俺ら牛舎の中で自足した牛だ、っていうのはそういう訳なんです」
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(『Mercury News』東京支局、Emi Doiが記事を補佐)